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海沿いの町を自転車で

秋口を過ぎ、冬も近くなると海沿いの風は一変する。
それまでは、やさしさを伴っていた母親のような海が、
静かに、そして厳かに命を奪う死神のような存在になって、
私達に風を送りつづけるのだ。

私のいる場所は海辺の町だ。
どこにでもある、護岸工事によって、
そしてコンクリで固められた海沿いの堤防によって、
侵食の進んだ海水浴場の成れの果てだ。

一時の海水浴ブームで繁盛した漁業の町は、
いつのまにか潮風で錆びたトタン屋根の小屋の集まりに
なっている。

私は、この風景をみながら自転車で旅にでる。
毎日、毎日の日課になっている。
朝、まだ町が起きてない時間もあれば、
夜、町が寝静まった、海を間近に感じる時間もある。

なにを探すでもなく、ただ、自転車を漕いでいくのだ。
この時期の自転車は漕ぎ続けねばならない。
夜であれば、それは特にだ。
夜を切るように、海に取り付かれないように。

間違えないでほしい。
私は海になにか哀しい出来事があったわけではない。
この町で生まれ育ったわけでもない。
でも、私は、ここにいる。
そして、しばらくいなければならない。
砂漠を歩く旅人が水を欲するように、
航海士がライムジュースを欲するように。

時には思わぬ拾い物をするときがある。
かけがえのないものを失う時もある。
失うならかけがえのないものではないかもしれない。

私は昨日、朝日を拾った。
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